みなさんは失業保険の仕組みをご存じですか?
わたしは東京の企業で人事マンとして働いていましたが昨年末退職しました。
人事の仕事をしていたこともあり、社会保険や失業保険の仕組みには詳しいと思っていましたが調べるうちにとてもややこしいことがわかりいちから勉強しなおしてみました。

ウェブサイトなどで調べても本で調べても一般的な情報しかない状態でした。

失業保険は基準がややこしく、様々な制約なんかもありとても分かりずらい制度です。
自分が当てはまるのか、必要な手続きやタイミングなどもWEBや本で調べてもわからなく、実際にハローワーク認定されるまで不安なこともあります。

今回は私が失業保険を申し込む際に調べたことをまとめましたので紹介いたします。
会社を辞めようか悩んでいる方、既に会社を辞めている方、ぜひ参考にしてみてください。

会社を辞める前にこれだけは知っておくべき失業保険の知識

1.失業保険を受給するための資格
雇用保険加入期間が一年以上あること

直近退職前の会社で一年以上働いている場合は大丈夫だと思いますが、何度か転職していたりする場合、アルバイトなどをはさんでいる場合、過去に失業保険を受給している場合は受給資格があるか事前に確認した方がよいです。
確認は最寄りのハローワークで受給資格があるかすぐに調べてくれます。雇用保険被保険者番号があるとスムーズです。

過去に転職している場合会社ごとに雇用保険被保険者番号を取得している場合があるので注意が必要です。

2.失業保険(求職者給付)の種類と受給期間、受給額

 ①基本手当
 失業の状態にある日について支給
   
 受給金額 1日につき以下の金額(上限あり)

 離職する直前の6ヶ月間に支払われた賃金の合計金額を180で割った金額の80%~45%(年齢による)

 受給期間 退職事由、年齢、雇用保険加入期間による

 ・契約期間満了、定年退職、自己の意思による離職
  被保険者であった期間(勤続年数)により所定給付日数は90日~150日となる
  なお、正当な理由がなく自己の都合で離職した場合は2ヶ月または3ヶ月の給付制限があります。
  実際に基本手当が受給できるのは給付制限期間後になります。

 ・倒産、解雇、一定の要件を満たす雇止めによる離職
  年齢、被保険者であった期間(勤続年数)により所定給付日数は90日~330日となる

 ・障がい者等の就職が困難な方
  ・・・うつ病などにより働けなくなった場合はここに該当する(「就労可能証明書」の提出が必要)
  被保険者であった期間(勤続年数)により所定給付日数は150日~360日となる
 
  受給期間等の詳細はハローワークのホームページをご確認ください。

 基本手当の消滅に注意

 基本手当を受けることができる期間は原則として離職日の翌日から1年間です。
 この期間中に上記の所定給付日数分の手当を受給できないと受けられなかった分は消滅します。

 ではどんな時に消滅するのか?を説明します。
 ハローワークでこの話を聞いたときに「基本手当は最大でも360日を超えるものはないので、かならず離職日の翌日から1年以内に受給できるのではないか?」と困惑していました。
 しかし次の場合は一部受けられなくなる可能性があります。特に所定給付日数が多い場合は注意が必要です。

  基本手当の一部が受けられなくなる理由とケース

 以下のケースにより受給対象日が後ろ回しになった場合に1年を超えた部分はもらえなくなります。
 例えば300日の所定給付日数があった場合に申し込みが離職日の翌日から65日以上遅れた場合、1年以内に300日分の基本手当を受け取ることができなくなります。

 ケース①初回の登録が遅れた場合

 基本手当の支給開始は離職日ではなく、ハローワークへの申込日が基準となります。遅れないように事前に準備し、離職後早めに申し込みに行きましょう。

 ケース②一日4時間を超えるアルバイトをした場合

 アルバイトをした場合はその日に対して基本手当は支払われません。
 その日の基本手当の支給が消滅したのではなく後回しになります。
最終的には所定給付日数分が対象となるのですが、アルバイトの日数分受給できる日が遅くなり、最終的に1年を超えた分が消滅してしまいます。
 所定受給日数が多い場合は何日間アルバイトをしても大丈夫か、事前に計算して計画することが必要です。
なお、4時間未満の場合は、その日に対する基本手当は支給対象ですが給与額によっては減額されることがあります。

 ケース③傷病などで働けない(求職活動ができない)期間がある場合

 傷病などの場合求職活動ができない期間については基本手当は支給対象にはなりません。
 所定給付日数分はアルバイトと同じく後ろ回しになるため1年を超えてしまう可能性があります。
 なお、傷病の場合は受給期間の延長ができる場合がありますのでハローワークで確認してください。

②再就職手当

基本手当の所定給付日数の3分の1以上を残して安定した職業に就いた場合支給されます。
基本手当をもらいきらないまま就職した場合に損をしないための制度ですね。
基本手当を残して就職しても残日数分の60%~70%は一時金として受給できます。
ただし就職先や雇用形態によっては支給されない場合がありますので事前に確認しましょう。
対象となる要件はハローワークホームページを参照ください

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3.退職事由による取扱いの違い
退職事由によって離職票の記載事項や必要な手続きが違います。ポイントを記載しますのでご参考ください。
なお、退職後では準備できずどうしようもならないものもあります。事前に必要なものをハローワークに確認してください。

①自己都合で退職した場合(下記③は除く)

 基本的に2ヶ月もしくは3ヶ月の待期期間があります。基本手当の需給はこの待期期間経過後に支給となります。

②会社の都合で退職した場合

 会社都合の退職の場合は会社から発行される離職票の記載項目が自己都合と書かれないように、事前に会社に退職事由をしっかり確認しておきましょう。
 待期期間はありません

③病気やけがで働けなくなり退職した場合

自己都合であっても怪我や病気を原因として会社を退職する場合、「障がい者等の就職が困難な方」が適用される可能性があります。
この場合、待期期間がなく受給期間がとても長くなります(雇用保険加入期間が1年以上の場合45歳未満で300日、45歳以上65歳未満で360日)。
認定には事実確認がありますのでポイントを記載します。

 ・医師の証明が必要
  かかりつけの医師に証明を依頼しましょう。もし退職後に引っ越しなどで病院を変わる場合は病院の紹介状を書いてもらうことでスムーズに証明をしてもらえると思います。
  必要な書類:就労可能証明書
   証明で以下の項目があります。
    退職時点での就労の可否→「否」に〇
    現時点での就労の可否→「可」に〇(現在は働ける状態でないと基本手当の申し込みができません)

 以下があるとハローワークでスムーズに話が進みます
 ・在職中最終日において出勤扱いでないこと(働けない状態なので休職、休日、有給休暇、欠勤などであることが望ましいそうです)

 ・在職中に通っていた医者での診断書(就業不可となっていること)

ほかにも制度はありますがまずはこの辺を押さえておき、自身の退職事由が何になるのか確認しておいてください。
なお、ここで紹介している内容はあくまでも参考としていただき、詳細な情報は最寄りのハローワークでご確認ください。

(2022年3月)